トロッコ問題を考える 犠牲者をひとりも出すことなく全員が助かるアイディアを私たちはひらめくことができるか?

今日はトロッコ問題について考えてみたいと思います。
先日、とある小中学校でトロッコ問題を考える授業が行われて、児童が不安感を抱いたということでニュースとなったことがありました。
トロッコ問題とは、倫理観や道徳心について考えるひとつの思考実験です。
どんな問題かというと、とある暴走するトロッコがあります。
その先には5人の作業員がいて、そのままでは5人は死亡します。
そのとき、自分は分岐点を操作することができ、もし分岐点を操作すれば違う道にトロッコを入れることができますが、しかしそこには1人の別の作業員がいて、その作業員が死ぬこととなります。
さあどちらを選びますか?というのがこのトロッコ問題の概要です。
ひとつの思考実験として有名になったこの問題ですが、最近では自動車運転の人工知能の問題としてリアルな問題になっているということでホットな話題となっています。

私はこの問題について、設問者の意図を感じるような気がして、いやな感じがしました。
つまり、分岐点を操作して1人が犠牲になるという選択肢へと誘導しているような気がしたのです。
5人が死ぬよりだったら1人が死ぬ方がいいという発想もあるかもしれませんが、そんな選択肢を選べと言われても気持ちが悪いこと限りありません。もちろん5人が死ぬのも気持ち悪いものです。どちらの選択肢も納得できる人はいないでしょう。
私はこの問題は悪問だと思います。

人生の問題を考えたとき、選択肢が二つしかないということはないはずです。
選択肢が二つしかないように見えて、おもいもよらなかった第三の選択肢が思いついたりするのが人間というものです。
人間の知恵とは深いものです。
誰もが思いつかなかった新しいひらめきによって全員が救われるということはあるものです。
人類はさまざまな困難に直面して、絶体絶命というときに、誰かが思いもよらないひらめきで解決法を思いついたりして、乗り越えてきたのが人類というものだったと思います。

ちなみに、私が思いついた解決法は、暴走トロッコが分岐点にさしかかったときに分岐点を操作してトロッコを脱線転覆させるというものでした。そうすれば犠牲者はゼロになるでしょう。
あとからネットで調べたときに、似たような解決法を考えた人はいらっしゃいました。
そもそも分岐点を中立にしておけばいいというふうに考えた人もいました。分岐点をどちらの道でもない中間にわざと設定すれば、トロッコは脱線するというものです。そんなふうにトロッコを脱線させれば5人の道にも1人の道にも入らずに全員が助かることができるということです。

こんなふうなジレンマ思考実験は数限りなくありますが、
もっとも重要なのは、犠牲者をゼロにするということだと考えます。
あくまで全員が助かる道を考えるのです。
そんなことできないよと思うかもしれませんが、
それを考えてこその本当のジレンマ思考実験ではないでしょうか。
私たちは考えることができます。
ひらめくことができます。
全員が助かる道を考える。
そんな人間こそ英雄というものであり、私たちは誰もがそんな英雄になることができるのです。

そうはいっても、ということはありうることだと思います。
究極の決断を下さなければならない場面はありうることです。
そんなとき、それは各人の良心の問題であって、
もはや正解はありません。
そんなとき、とりうるすべての選択肢が正解となるでしょう。
誰もその決断を責めることはできないと思います。

自動車運転の人工知能の問題として考えたとき、このトロッコ問題は現実となります。
事故に遭ったとき、どのような解決法を人工知能に判断させるか。
私はそんな緊急時は人間が運転操作するべきだと思います。
言うまでもなく、そんな緊急時に正解はありません。
正解を求めて人工知能をプログラムすることは不可能でしょう。
人間が操作して、二つの選択肢のどちらでもない第三の選択肢をひらめいて解決する他はないと考えます。
もし人工知能がそこまでできるようになったとするならば話は別ですが、
最終的な決断は生身の人間の判断にゆだねられるのではないでしょうか。

誰かが犠牲になる判断というのは、どんなに大多数が助かったとしても後味が悪いものです。
生涯そのことを心のトゲとして生きていかねばならないでしょう。
それはたとえゲームや思考実験であったとしても、やはり後味が悪いものです。
本当の思考実験とは、全員が助かる道を考えるようなものだと思います。
全員が助かる道を考えて全員を助ける。
それこそ英雄であり、私たちは生涯そのことを誇りに思って生きていくことができるでしょう。
そんな判断ができるように、日頃から心身を養っていきたいものです。
そのためにジレンマ思考実験を考えることができればよいのかなと思います。