どん底の今だからこそ未来へ希望をつなぐ

先日、2001年に放送されたNHKスペシャル「宇宙 未来への大紀行」全9回を観た。
2001年の9カ月に渡って放送された大型NHKスペシャルシリーズであるが、このシリーズには2001年当時の世相が色濃く反映されていると当時を思い出しながら感慨深く思った。
このシリーズは宇宙をテーマに描いたものであるが、例えば火星有人探査計画や火星移住計画などが真正面から真面目に取り上げられていて、当時はまだまだ未来に対して日本人も世界人類も熱い希望を持っていたんだろうなと感じる。地球外生命体を探す研究や太陽系外の地球型惑星を探す研究、宇宙のはじまりそして宇宙のおわりを考える研究など、当時の人類のパワーを感じることとなった。
例えば、現在行われている宇宙ステーションの研究は、火星有人探査計画の準備研究として始まったということが語られていた。
火星にたどり着くまでには数百日という長い期間がかかり、その間、人間は宇宙空間の生活に耐えられるのか、その準備段階としてまず宇宙に長期滞在してみようというところから、宇宙ステーションは始まったという話だった。
現在も宇宙ステーション計画は行われているところであるが、背景とは奥が深いものである。

2020年の今このような壮大なストーリーを見て、少し遠い目になるのは私だけだろうか。
2001年当時、日本はすでにバブルは完全に崩壊していて就職氷河期を迎えていたが、日本人はまだ未来に熱い希望を持っていたのだろう。そしてそれは全世界的に共通したものだったのだろう。全人類が未来に熱い希望を持っていた。
「新しいミレニアム」という言葉も出ていて、遠い目であったが、新しいミレニアム、そして21世紀を迎えて、日本人だけでなく世界人類的に未来に向けて希望を持っていた時期でもあったかもしれない。そうでなければ、火星移住計画など真正面から議論できないだろう。火星の環境を改造して地球と同じような自然環境としてそこに人類が移住するという計画は、今となっては、なかなか真正面から議論するには勇気が必要であるかもしれない。

太陽はいずれ寿命を迎えて滅ぶことは現代科学ではゆらぐことのない未来予想である。
番組では、20億年後には太陽が膨張する影響で地球の海はすべて干上がり、灼熱の地上になって生命はもはや生きていけないだろうと語られていた。当然それよりももっと前に地球環境には影響が出るだろう。人類がこの地球で生きていけるのは、もしかしたらこれからの10億年くらいが限度なのかもしれない。
いずれ人類は地球を旅立って宇宙へと出ることになるだろう。
番組では、いわゆるスペースコロニーで人類が生活しながら、遠い銀河の先にある地球型惑星に向かって何万年をかけて旅をすることになるのかもしれないとまとめていた。現在の人類が想像できることはそこまでかもしれない。

現生人類のホモ・サピエンスが誕生してから20万年であるが、正直これからの20万年後に人類が存続しているかどうかも難しいという話もあると思われ、20億年後の心配を今からする必要はないと考えている。それはそれとして、私たちは過去と未来をつねに見つめながら、長い目で現在を見つめて、そして徐々に近づいていって細かい目先の問題を考える必要があることはまちがいない。

2020年の今はどん底の時代といってもいいだろう。
20年前、2001年当時は日本人も世界人類的にもまだまだ未来への熱い希望を持っていたかもしれない。
しかし、その直後、アメリカ同時多発テロが起きて(2001年9月11日)、世界は一気に大紛争の渦に突入していく。そしてリーマンショックも起きて、世界的に大不況となり、日本はバブルから続く不況にさらに不況が重なり、派遣労働者の雇止めによる「年越し派遣村」が重大問題として騒がれることとなった。
2010年代に入ると地球環境が変わってきて、水害に悩まされるようになった。
東日本大震災や熊本地震といった地震だけでなく、梅雨による水害や台風に何度も悩まされた。
そして今年も梅雨で大きな被害を出した。秋の台風もどうなるか心配である。
2020年の今年は新型コロナウイルス感染症の大流行である。
あまり大きくは報道されていないが、バッタの大発生による世界的な農業被害も深刻化している。
今年の夏は日照不足により稲作の生育が心配されているが、今年の秋は食糧危機も心配されるのではないかと考えている。

本当にどん底としか思えないような今であるが、そうであればこそ未来へと希望をつなぐことが大事である。
正直に言って未来へ希望をつなぐといっても、未来に希望を持てる材料は何もないのが現実である。
何も根拠がないのに未来に希望を持てと言っても無理難題であることは理解している。
それでも、私たちは「生きていきたい」のであって、今はダメでも未来にはなんとか、と思いながら、今日を生きていくしかないのだろうと思う。
ただ今日を生きる、それだけでも立派な努力であり、大切な努力だと信じている。
ただ生きるだけで、努力なのかとは言われるかもしれないが、このようなどん底な状況で、ただ生きるということがいかに難しいか。ただ生きるということがいかに大変な苦労であり努力であるのかということが浮かび上がっているように思う。

番組では「私たちが何者であるのか知りたくて宇宙を探求するのだろう」と解説されていた。
「宇宙という視点で私たち人類を見る視点が大事」ということも語られていて、私も常々そう思っていたところだった。
私たちは往々にして自分たちを特別な存在と思いがちであるし、また目先のことにとらわれがちでもあるが、宇宙から見た自分という視点を持って、自分や私たちを大きな視点で眺めることが自分自身を理解する上で大事だと感じている。

20年後、2040年に私たちはどうなっているのか。
その時点でもはや地球が住めない環境になっていて本格的に火星移住計画が議論されているという未来は避けたい。
火星移住計画はやむなくされるものではなく、別にする必要はないけれどもさらに人類を豊かにするためにあえてしてみるというものであってほしい。火星での知見が地球をよりよくするために活きていく。太陽が膨張して本当に住めなくなる20億年後まで、私たちはとことん地球にしがみつきたいものである。
どん底であればこそ未来をみすえて、今日を生きていきたい。

◆今日の写真
晴れ間が広がっている。
天気予報では晴れの日が多くなっていて、そろそろ梅雨明けなのだろうか。

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